2017年7月23日日曜日

3行レビュー: 後期教養の授業

【3Sセメスター】
・月2: 科学技術社会論
科学と社会の接点についての講義を受けながら、各自で事例分析を進め発表しレポートにまとめる。
私は国公立大学の運営交付金の問題を取り上げ、その配分はどのように決定されるのが望ましいかについて考えた。学生の発表は内容がバラエティに富んでいて面白かった。

・月3: 物理数学II
フーリエ変換、楕円関数、超幾何級数、ベッセル関数などについて学んだのだが......。
授業は難しすぎて全くわけがわからなかった。周りもよくわかっていなかった。
テストは計算問題だったのでまあまあ解けた。

・月5: 実解析学演習I
ルベーグ積分について、金1の授業で学んだことを毎週のレポートと小テストで確認する。
ルベーグ積分の講義を聞いているときは抽象的でよくわからないと感じたものの、この演習で具体例が出て来ると少し内容を理解できるようになった。

・火2: 量子化学
Slater行列式からHartree-Fock法まで学んだ前半部分の内容は覚えている。
後半から統計力学演習のレポート締切(火曜昼)に追われ次第に出席しなくなっていった。
それでもそこそこの成績はありそうで、単位認定は今学期受けた中で最も甘いと思われる。

・火3,4,5,水3,4,5(S1): 物質科学実験I(光と分子)
主に分子分光実験を行い、量子力学的計算と実験結果が合うかどうかを見る。
芳香族のπ共役系の電子を、井戸型ポテンシャルで考えたとき、ループのある井戸型ポテンシャルで考えたとき、ヒュッケル法で解いたときと実験結果を比べたのが一番面白かった。

・火3,4,5,水3,4,5(S2): 物質科学実験I(分子の機能)
Diels-Alder反応についての実験を行い、その結果を量子化学計算ソフトによる解析結果と比較するのが主な内容である。もう少し量子力学の知識が活かせる内容なのかと思っていたが、中身はゴリゴリの有機化学で、しかも毎週提出のレポートは課題が重くつらかった。

・水1: 数理科学セミナー
4名の学生で、英語で書かれた統計力学の教科書を輪読する。内容としては、古典の統計力学を一通りやり、古典の枠組みで相転移を扱うところまでをやった。
教員との距離が近いのがセミナーの良いところである。今学期で一番良い授業だった。

・水2: 無機化学I
分子軌道法・分子の対称性・酸と塩基・分析法・固体の構造・酸化還元反応・配位化合物と広い内容をそれぞれ浅く学んでいった。というよりほぼ物性化学だった。一年前はよく分からなかったので復習ができて良かったが、こんな簡単に単位をもらってしまってよいものか。

・木2: 統計力学II
量子統計を学ぶ。黒体輻射から始まり、固体の比熱モデル、ボーズ・アインシュタイン凝縮、フェルミ縮退、イジング模型の相転移と学んだ。内容が難しかったので小手先の勉強で試験を乗り越えようとしたらちゃんと難しい問題が出てしまった。不可に違いない。

・木3: 偏微分方程式論
主に熱方程式、波動方程式、ポアソン方程式を扱った。
毎週レポートがあり、しかもあまり解けなかったのはつらかった。
ただ、そのレポートの解説は丁寧でわかりやすく、試験勉強はやっていて楽しかった。

・木4: 量子力学演習I
黒板での発表とレポートの提出で、シュレーディンガー方程式を解いたり、ブラケット計算をしたり、解析力学の問題を解いたりした。何が一番良かったかというと、第四回レポートがそのまま量子力学IIの試験対策になっていたところが一番良かった。

・木5: 統計力学演習
毎週統計力学のレポート問題を解く。答えは学生が黒板で発表する。
この問題は難しい上に分量も多く、実験以外では今学期イチの重い授業であった。
これだけやっても統計力学IIは不可と思われるあたり、統計力学習得への道は遠い。

・金1: 実解析学I
ルベーグ積分論を学ぶ。この授業は教員が面白かった。曰く、「僕はルベーグ積分が専門ではないですし、なんで担当になったのかもよく分からない」「この授業面白いんですかね?」「物理の人は気にしてないのでみんなこの授業で学んだことは今後使わないと思います」などなど。

・金2: 計算数理
数値計算をする上で、どうすれば効率よく精度の良い近似値が得られるかを考察する。
今後研究する上で数値計算をする機会は多いであろうし、役に立つ情報が満載で興味深かった。線形代数の直接の応用を見ることができて感じ入った。

・金3: 計算数理演習
計算数理で学んだことを、コンピューターを使い実際にプログラムを走らせて実験的に検証する。といってもプログラムは既に用意されているという、ゆるふわな授業である。
一番の収穫はLaTeXが使えるようになったことだと思う。

・金4: 量子力学II
角運動量、水素原子、スピン、摂動法、WKB近似、電磁場中のシュレーディンガー方程式といった内容を学んだ。先生の板書の文字は今まで受けた中で最も美しかった。
内容は消化不良気味だが、過去問ゲーだったので単位を取るだけならできているかと思う。

・金5: 物性物理学I
今学期で最も理解が難しかった科目。固体物理として、格子の統計力学と周期ポテンシャル中の電子を学んだようなのだが、教員の頭の回転が鋭すぎて話についていくのが大変困難であった。持ち込み可の試験にも関わらずさっぱり解けず退出する羽目になった。