2023年10月30日月曜日

お風呂について、とりとめのない話

秋になった。涼しくて過ごしやすい日が続いているが、夜は冷え込むこともある。そこで、数日に一度はしっかりと湯船に浸かるようにしている。

以前は、冬場になると表参道の清水湯に足繁く通っていた。目当ては人工炭酸泉だ。炭酸泉は水温こそぬるいものの、炭酸の血行促進効果により独特の温感を得ることができる。学部3年生の頃は、午前の授業を受けた後、駒場キャンパスから自転車に乗って表参道へ行って、3限の空きコマで清水湯の炭酸泉に入っていた。そして、入浴後はまた大学に戻って18時半まで4限と5限の授業を受けるのである(こうすると午後の授業でよく眠れる)。
しかし、毎回毎回表参道まで行っていては時間もお金もかかってしまう。今年の私は月に5000円分くらいキノコを食べていて、キノコ代も馬鹿にならない。ここから更に銭湯代まで計上していては家計の危機だ。
そこで、家のお風呂でもよく温まるための入浴剤を探してみることにした。自分で重曹とクエン酸をお風呂に入れてみるのも含めて試してみたが、家庭用の入浴剤等では人工炭酸泉レベルの炭酸濃度を作れないようで、どれも今ひとつ物足りない。考え方を変えてバスロマン プレミアム 発汗保温浴を試してみたところ、これが当たりだった。炭酸の勢いこそバブに劣るものの、ハーブの効能で入浴後も温感が長続きする。今日もこの入浴剤のお風呂に入り、「まさに欣快の至りだ」と思いながら風呂から上がってきたところだ。

私はリングフィットアドベンチャーというフィットネスゲームをやりこんでいるが、寒いと筋肉がこわばって体の可動域が狭まってしまう。こういうときも、運動前に一旦湯船に入っておく。運動すると汗をかく。汗をかくとシャワーを浴びたくなる。そういうときはまたシャワーを浴びる。かくして、しばしば一日に何回も風呂場に行くことになる。
この話を以前誰かにしたところ、「しずかちゃんじゃん」と言われた。しかし、私はしずかちゃんではない。しずかちゃんは架空の人物なのに対し、私は実在の人物だからである。

家で湯船に入るとなると、面倒なのが風呂掃除だ。何を隠そう、私は掃除が非常に嫌いである。掃除は疲れるからである。同様に、研究も疲れるから嫌いである。車の運転も疲れるから嫌いである。勉強、漫画の執筆、くしゃみ、鼻詰まり、蚊、汚職、格差社会、地球温暖化、全て嫌いである。風呂は疲れが取れるから好きである。
そもそも、風呂に関する行為のうち、入浴という最も気持ちの良い部分を取り除いた残りカスの集合体こそが風呂掃除である。残りカスの集合体なんて好きになれるはずがない。私が風呂掃除を嫌っているのは、風呂掃除の定義からして当然の帰結だ。風呂掃除が好きな人がいたとしたら、その人は異常であると言わざるを得ない。
それにしても、疲れを取るために風呂に入りたいのに、そのためには掃除をしないといけないとはなんとパラドキシカルなことだろうか。掃除が嫌いな私ではあるが、パラドックスは好きである。風呂掃除もパラドックスの一種だと思うと、掃除の中でも風呂掃除だけは好きになれるかもしれない。風呂掃除にも好きになれる余地はある。私は風呂掃除が好きになれる。だんだん風呂掃除が好きになってくる。私は風呂掃除が好きだ。私は異常であると言わざるを得ない。

助けてください。