2016年11月6日日曜日

Arduous Learning of English for a Science Student (1)

大学に入学してから早くも1.5年が経ち、私は3つのセメスターを経験した。前期教養の課程はほぼ終了し(*1)、現在は専門科目の学習に入っている。成績表を見ると、今までに取った単位数は76だと書いてあった。およそ40コマ分に相当する授業を受けてきたと言えそうだ。さて、これら前期教養の授業の中で、どれが最も印象深かったであろうか。私なら、それはALESSだと答える。
ALESSとはActive Learning of English for Science Studentsの略である。その名が示す通りALESSは英語の授業だが、ただの英語の授業ではない。Activeという形容詞が示す通り、ALESSは英語を使う訓練に重点を置いて設計されている。ではALESSはどのような点でActiveだというのだろうか。UT-Lifeでのトム・ガリー先生による説明が分かりやすい。

 <以下、引用> 
1. 英語で書かれた本物の科学論文を分析・検討することで、論文の論理構造や形式面での作法、フォーマルな用語法を学ぶ。
2. 簡単な科学実験を自ら考案し、実行する。
3. 1.で学んだことを踏まえつつ、自宅で自ら論文を書いてくる。
4. 学生同士が2人一組になり、互いの論文について気付いた点を指摘しあい(ピア・レビュー)、担当教員からのアドバイスも参考にしながら、自らの論文を推敲する。
5. 行なった実験・執筆した論文に基づき、5分程度のプレゼンテーションを行う。 
<引用終わり>

要は英語で論文を書いて発表する授業ということだ。さすが東大、有用そうな内容である。しかし3ヶ月半ほどでこれほどの内容をやるとなると、スケジュールは過密になってくる。つまるところ、ALESSは「Active」なだけでなく「Arduous」(多大な労力を要する)な授業でもあったのだ。そして、それがどれほど「Arduous」になるのか、入学当初の私は考えたこともなかった。

ALESSは大学に入って初めて受けた授業だった。
逆評定で「大仏」「教員の鑑」とされていた教員は、分かりやすい説明やビデオでの論文添削など、学生のために尽力する優しく素晴らしい先生として知られていた。 4月の私はなかなか意識が高く、それなりにやる気を持っていた。最初の授業で、先生は "ALESS is surely hard but useful. I'll do my best to make this course as helpful as possible."と、こんなことを言いながら、授業の流れを説明した。Hard but useful. なるほどそんな感じの授業だ。この授業を自分にとってできる限りusefulなものにするためにも、できる限り優れた論文を書いてみよう。私はそう決意した。
授業は「反転授業」の形式で進められた。まず、先生はyoutubeに論文の形式などについて解説した予習ビデオをアップロードし、学生はそれを視聴して授業に臨む。教室では、予習ビデオで学習した知識を踏まえて、グループワークを行った。グループワークでは論文の要約課題やパラグラフ整序問題を解いて学生同士で話し合うことで、論文の構造を学習した。先生は解説を挟んだり話し合いのサポートをしたりしていた。
そして授業の後は、学習事項をふまえて自分の論文を書く課題と、次の予習ビデオを見る課題が与えられた。翌週は自分の文章を授業に持ってきて、学生同士で読み合い意見を交換する「ピア・レビュー」を行った。ピア・レビューを終えると次のステップに進み、同様にグループワークと課題が与えられた。これを論文の完成まで繰り返した。

論文を書くため、まず班分けとテーマ決めを行った。教員は、「Ants」「Growth of Plants」「Taste」などテーマを5つほど示し、「興味のあるテーマを選んでください。それによって班分けをします」と言った。「楽そうかどうかではなく、あくまで興味で選んでください」と付け加えて、学生に挙手をさせた。かくして、「Wave」に私を含む3人が集まり、「Wave」班が結成された(*2)。以下、他のメンバー2人を、A君・B君とする。
この日は、「テーマに関連した論文を1つ検索で見つけて、説明できるようにする」という課題が出た。この「論文を探して持ってくる」課題では、論文は論文でも「実験に発展できるような論文」を持ってくることになっていた。ALESSでは、家などで特別な機器がなくても実行できる実験を行うことになっている。「wave」班では、話し合いの結果電子レンジや音波に関して何か実験ができるだろうと結論付け、各々これらについて調べてみることにした。
その週、私は論文を探すため大学の図書館へと向かった。この時点での私には、自分の論文が完成までどれほどの紆余曲折を経ることになるのか、知る由もなかった。(続く)

(*1)正確には、必修の「電磁気学」を落としているためまだ2単位残っている。
(*2)人数の多い班は分割などで調整された。

リンク:
Arduous Learning of English for a Science Student (2)
Arduous Learning of English for a Science Student (3)
Arduous Learning of English for a Science Student (4)
Arduous Learning of English for a Science Student (5)
Arduous Learning of English for a Science Student (Appendix)

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