2018年11月21日水曜日

4コマ漫画「STOP!! 薬物乱用!」

薬物乱用防止を訴える啓発漫画(4コマ漫画×3本)を描きました。右上が最初のコマです。
ぼやけている場合は、画像をタップ/クリックして下さい。たぶん鮮明な画像が表示されます(Twitter版を見るという手もあります)。
さらに、@__DielsAlder__さんがなんと漫画化(?)して下さいました!優れた作画による活き活きとした表情がついたことで、メッセージ性が深まり、より心に響く作品になったと思います。合わせてお楽しみ下さい(表示されない場合はこちらへ)。

2018年11月18日日曜日

日記: 東京証券取引所と水再生センターの見学

今学期には全休にできる平日がある。そこで、その平日休みを活かして平日ならではの遊びをしようと考えた。

どういう遊びをしようか検討してみて、自分が下水処理場の見学をしたい気分であることに気が付いた。これは平日しか受け付けてもらえない。水再生センター見学窓口に電話をしてみたところ、三河島水再生センターが空いているとのことだったので、11月16日の13時からで予約をした。1人でも見学が可能らしい。

11月16日になった。午前中はまず入谷駅で降りて(*1)銭湯で朝風呂に入ったあと、日本橋の東京証券取引所に行くことにした。ここの見学も平日しかできないのだ。中に入るといきなり物々しいゲートが出迎える。フライト前のような手荷物検査を受け、善良な小市民として認められた私は中へ入ることを許された。東京証券取引所を見学する際は、カバンに爆弾や覚醒剤が入っていないか事前によく確かめておくべきである。

中を進んでいくと、あの象徴的な「株価が高速で回る電光掲示板」を見ることができた。緑字が前日比マイナスを、赤字が前日比プラスを表すようだ。また、大画面モニターにはTOPIX 100構成銘柄の株価が表示されていた。取引が行われると瞬時に反映されていく。日本経済の動向が直感的に見て取れて、眺めているととても楽しい。数字を見ていると瞬く間に1時間が経ってしまった。もう1ヶ月ほどすればクリスマスであるが、"日常と地続きの非日常感"を味わえるこの場所はデートスポットとしても自信を持ってオススメできる。なお、私は今まで一度も他人と交際したことがない(自分自身と交際したこともない)。この知見の活用は読者の方に任せたいところだ。

再び地下鉄に乗って、町屋駅で降りた。都電の線路に沿って歩いていくと、三河島水再生センターが現れる。13時ちょうどに正門前に到着すると、職員の人が待っていてくれていた。よく見ると3人もいる。対して見学者サイドは私1人。もし戦闘にもつれ込んだら多勢に無勢、勝ち目はないだろう。加えてここは相手方の本拠地だ。近くに逃げられそうな場所は銭湯くらいしかない。遅れないでよかった。私はほっと胸をなでおろした。
到着するとセミナー室へ案内された(*2)。机の上に何か置いてある。どうやらお土産のようだ。しかし解説役3人にお土産にと、私一人にそんなに税金を使って大丈夫なのだろうか。都議会で糾弾されてもうまく答弁できる気がしない。喚問されないことを祈るばかりだ。
お土産。かなり多い
セミナー室では東京都の下水道事業に関するビデオを視聴した。食事の後であり、夢の世界に没入する様子を3人に見られでもしたらどうしようと心配になったが、なんとか意識を現実世界に繋ぎ止めておくことができた。
ビデオの後は実際に水を処理している場所に連れて行ってもらった。砂利などを沈殿させた後、微生物の作用で汚泥を分解し、できた塊を再び沈殿させたら、塩素で消毒して放流するのだという。各槽の蓋を開けてもらって中を覗かせてもらった。初めは汚く濁っていた水が最後には透明になって流れていたのは、少々感動的でさえあった。
下水処理場の見学自体は小学生の頃に一度体験したことがあるが、成長してから訪れたことで当時より興味深く見学を楽しむことができた。見学していると疑問点が多数湧き上がってきたが、見学者が私一人ということもあってそれら全てに丁寧に答えていただいた。見学コースは105分間とのことだったが、思いつく限りの質問を尋ねているとあっという間に過ぎてしまった。
このように、水再生センターの見学は非常に楽しいものだった。しかし、東京証券取引所と違ってデートスポットとしてはオススメできない。というのも、見学中はずっと汚水の臭いがするのである。見学中にくさいだけならともかく、服に臭いが染み付いて帰宅してからもくさかった。言われてみれば当然のことだが、これは体験してみないと気付けない盲点であった。たまたま今は彼女がいないため雰囲気ぶち壊しとなる事態は偶然にも免れることができたわけだが、もし彼女がいたらここでデートをしようと誘っていたことだろう。読者の方は、どうかこの注意点を頭に留めておいてほしい。おそらく、デートスポットに選ぶなら下水処理場よりも火力発電所の方が無難だと思われる(*4)。

(*1)萩の湯の最寄り駅は鶯谷である。入谷を使っているのは、東京メトロの24時間切符を買っているためだ。
(*2)歩いている間、見学の目的を尋ねられた。私は「なんとなく」と答えた。
(*3)とはいえ、火力発電所に行ったことはない。ここにも何か予期せぬ陥穽があるかもしれないし、そこまでは保証できない。

2018年11月1日木曜日

日常の中のサイエンティフィック・スポーツ

概要
KTTA「キムワイプ卓球の基礎知識(2)」で述べた定義のもとでは、それまで無意識的に行われてきた日常の中の営みがサイエンティフィック・スポーツに該当し得る。そのような活動として、例えば論文スタイルエッセイ、引用的ツイート、実験器具料理などが挙げられる。本稿では、今まで光を当てられてこなかったそれらの行為について述べ、新しいサイエンティフィック・スポーツとして提案する。

本文
サイエンティフィック・スポーツという用語は、キムワイプ卓球のようなものの総称として使われてきたが、その定義は近年まで曖昧であった。サイエンティフィック・スポーツの定義が初めて明確に与えられたのは、「キムワイプ卓球の基礎知識(2)」(KTTA, 2018)においてである。その資料内で、KTTAはサイエンティフィック・スポーツを「研究内容とは関係ない科学コミュニティにおける共通作法による,本業以外の営み」として定義した。例えば、キムワイプ卓球における「共通作法」とはキムワイプであり、「本業以外の営み」とは卓球である。また、マイクロピペットダーツにおける「共通作法」はマイクロピペット、「本業以外」はダーツとなる。
これまでは、サイエンティフィックスポーツとして、キムワイプ卓球やマイクロピペットダーツのような従来のスポーツに近いものばかりが目立っていた。しかし、この定義から分かることは、「共通基盤」と「本業以外」から成るならば、必ずしも(通常の意味での)スポーツである必要はないということだ。では、この定義を使って新しいサイエンティフィック・スポーツを作り出すことはできないだろうか?
実は、「キムワイプ卓球の基礎知識(2)」では、その可能性についても触れられている。そこでは、今後登場しうるサイエンティフィック・スポーツとして、「インパクトファクター文学」「キムワイプ音楽」「学位ボウリング」「挑戦的萌芽絵画コンクール」の4つが挙げられている。しかし、これらはいずれも、意味が分からないため事実上実行不可能であるという問題点を抱えている。 従って、 新しいサイエンティフィック・スポーツを作り出す上では、単に新しい用語を与えるだけではなく、それらの用語がどのような行為を指しているのか、その内容が理解可能なものを考案しなければならないということになる。
そこで更に「キムワイプ卓球の基礎知識(2)」を読み進めると、「サイエンティフィック・スポーツによるサイエンティフィック・スポーツ」の項目にたどり着く。ここでは、五月祭で実施された「キムワイプ卓球研究会」などもサイエンティフィック・スポーツに該当するということが述べられている。なぜならば、キムワイプ卓球研究会もまた、キムワイプ卓球という「本業以外」と研究会という「共通基盤」の2つの要素から構成されているためである。これは、意味が理解可能で、かつ新しい定義によって新しく生まれたサイエンティフィック・スポーツの例にまさしく該当している。ところが、この「キムワイプ卓球研究会」は新しくサイエンティフィック・スポーツを作ろうとして生まれたサイエンティフィック・スポーツではない。実際、私は第一回及び第三回キムワイプ卓球研究会の責任者としてその運営に携わっていたのだが、研究会の最中も「自分はサイエンティフィック・スポーツをしているのだ」という認識は持っていないかった。この事実は、我々が無意識のうちにサイエンティフィック・スポーツを行っている可能性、知らず知らずのうちにサイエンティフィック・スポーツを作り出している可能性があることを示唆している。
そこで、新たなサイエンティフィック・スポーツを打ち出す上で、サイエンティフィック・スポーツの発明を試みるのではなく、発見を試みるというアプローチをとって考えてみることにした。その結果、自身の日常生活の中からいくつかのサイエンティフィック・スポーツを見出すことができた。それが、以下で述べる論文スタイルエッセイ、引用的ツイート、実験器具料理である。

(1)論文スタイルエッセイ
「fire HD 8タブレットの話」「バイトの話」のように、論文のような構成, 書き方で書かれたエッセイや日記のことを、論文スタイルエッセイと呼ぶことにする。上記の例では、特に実験の論文を意識して、概要+背景+方法+結果・考察を骨子として書かれている。 論文風エッセイは、論文スタイル(共通基盤)+エッセイ(本業以外)から構成されている。

(2)引用的ツイート
「“統合自然地理学”という本の存在は統合自然サーチ人に広く知られている (tactfully28, 2018).」というツイートのように、ツイートの後ろに "(名前, 年)"を付けてあたかも何かを引用しているかのように見せかけたツイートのことを、引用的ツイートと呼ぶことにする。引用的ツイートは、引用のフォーマット(共通基盤)+twitter(本業以外)から構成されている。

(3)実験器具料理
私はビーカー、薬さじ、駒込ピペットなどを持っているが、それらを使って味噌汁、ココア、プリンなどを作ってきた。このように、実験器具を料理に使うことを実験器具料理と呼ぶことにする。実験器具料理は、実験器具(共通基盤)+料理(本業以外)から構成されている。

私が発見したサイエンティフィック・スポーツは以上の3つである。今後も、サイエンティフィック・スポーツのコミュニティが拡大し、様々なサイエンティフィック・スポーツが発掘されていくことに期待したい。