今日、家を出発する前に歯医者に電話をして予約を取った。歯のクリーニングのためである。
歯医者に行くのが趣味だというと変だろうか。例えば、銭湯に行くのが趣味だというのはきちんと成り立っているように思う。銭湯に行くのは体を綺麗にしつつ気持ち良くなる営みだから、歯医者に行くのも同じことである。また、ジョギングが趣味というのも成り立っているように思う。ジョギングは体を健康にしつつ気持ち良くなる営みだから、歯医者に行くのも同じことである。
しかし、歯医者に行くのが趣味だというのが変であろうとなかろうと、こうして屁理屈をこねること自体が変かもしれない。変にはなりたくない。困ったものである。
そんなことを考えながら登校した。
大学の研究室では、入室時に室内履きに履き替えるルールがある。今日も研究室に行ったのだが、退室時に下駄箱の前で固まってしまった。しばらく下駄箱の前で悩んでいると、周りからどうしたのかと声をかけられた。私が「自分の靴がどれだったのかを忘れてしまって......」と答えると、「そんなことある!?」とツッコまれた。恥ずかしかった。
結局、優秀な後輩が消去法で特定してくれた。「まあでも新しい靴履くとそうなることもあるか......」という擁護の声も聞こえたが、特定作業の結果、私の靴は靴底が擦り切れたボロボロのものであったことが白日の下に晒された。全く新品ではなく、恥ずかしかった。間違えて昔履いていた靴を履いてきてしまったようだった。
これが普段から賢い人だったら、天才のお茶目なエピソードとして済むだろう。ところが私は普段から無能で、ただ単に研究室一の阿呆が底抜けの阿呆さを発揮しただけなのであった。全くどうしようもない。困ったものである。
そんなことを考えながら帰宅した。