2021年10月1日金曜日

実食!コオロギラーメン!!

注意: この記事には、やや性的な表現が含まれています。念のため、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

関西の友人Sから連絡が来た。今度東京に来るのだと言う。これまで私は新型コロナウイルスの流行を踏まえて極力人と会うのを避けていたが、お互いワクチンの2回接種が済んでいることから、会ってもよいだろうと判断した。
Sの提案でANTCICADAという店に行くことになった。ここではコオロギラーメンなるものを提供しているそうだ。私は今まで昆虫を食べたことがない。このままでは長野県民になれない(*1)し軽井沢にも移住できないということで、この機会に昆虫食に初挑戦することを決意した。

馬喰横山駅で降りて目的の店に向かう。入り口が非常に分かりにくく、何度も迷ったがどうにか着いた。店内は清潔感のあるモダンでオシャレな内装だ。店内でもコオロギが飼われており、コオロギの鳴く声が聞こえる。

コオロギラーメン

コオロギラーメンが提供された。上に素揚げされたコオロギが乗っている。この素揚げのコオロギがサクサク食感でかなり美味しい。コオロギ出汁がウリのスープも、香ばしく豊かなコクがあって味わい深い。純粋にラーメンとしての完成度が高い一杯だ。
折角なのでサイドメニューの佃煮も頼んでみた。イナゴ・コオロギ・カイコの三種盛りである。イナゴとコオロギは小海老のような味で、癖が少なく食べやすい。絶品とまではいかないが、美味しいに入る範疇だ。
カイコは古い旅館のような味がした。古い旅館の味というのは、古い旅館で提供される料理の味ということではなく、古い旅館の建物そのものを食べているかのような味という意味である。尤も建材を食べたことはないが、仮に消化酵素を持っていたとして、食べるときっとカイコの味がすると思う。なかなか面白い味だと思った。美味しいかどうかで言えば美味しくはない。

ボウルいっぱいのコオロギ

サービスでボウルいっぱいに入ったコオロギを見せてくれた。改めて眺めてみると結構美味しそうに見える。コスパが悪いからやらないが、砕いてふりかけにすればご飯に合いそうだ。
会計はまとめてもらった。私はSに二千円札を渡した。友達間のお金のやりとりに二千円札を使うと、同じ額面でも希少な感じがして喜んでもらえる。ライフハックというやつだ。

虫を食べることに抵抗を感じる人は多い。しかし、今一度ゆっくり考えてみると、牛や豚に抵抗を感じず虫には抵抗を感じるというのは何だか奇妙なように思える。人間に近ければ近いほど抵抗感が大きくなるのが道理ではないだろうか。私のために牛が屠殺されていると思うと少々罪悪感を覚える一方で、コオロギが大量殺戮されることについては可哀想とも何とも感じない。
とはいえ、これは倫理観ではなく清潔感の問題なのかもしれない。Sも言っていたが、高級感のある店でコオロギを出されるからパクパク食べられるのであって、床が油で滑るような小汚い店で提供されると流石に食べる気を起こせない。二郎系ラーメンのことを冗談で「家畜のエサ」などと呼ぶ人が時折いるが、コオロギをマシマシにされた日には私の目にも食品の領域を脱出した「本物のゴミ」として映ってしまうことだろう。

帰り道でSに東京の観光地を尋ねられた。
私「東京の観光地と言ったらやっぱりあそこかな。秋葉原の自動販売機」
S「自動販売機?」
私「秋葉に怪文書を売っている自販機があんねん」
S「そんなん行かへんわ。やっぱ感覚ずれとるな」

Sが私の部屋に来ることになった。
S「ちょっとトイレを借りていいですか」
私「ええよ」
こう言ってから、ふとトイレにTENGAが出しっぱなしになっていることを思い出した。Sがドアを開ける直前で待ったをかけ、TENGAを戸棚の中に放り込んだ。
S「え、何。気になる」
私「TENGAをしまっとった」
S「それ言ったら意味ないやん」
私「自分がTENGAを買っているという抽象的な情報は知られてもいいけど、自分のTENGAの具体物をお見せするわけにはいかない(*2)。お見苦しい」
S「ディズニーランドのミッキーの着ぐるみに人が入っているのは周知の事実やけど、中のスタッフが姿を見せることはない、みたいなことやな」
それとTENGAを一緒にしていいのだろうか。その理屈だとミッキーの着ぐるみの中の人は私のTENGAと同じということになるのではないか。誇りをかけて夢の国を作り上げている株式会社オリエンタルランドの従業員に対し失礼に当たらないだろうか。いや、TENGA社も誇りをかけてTENGAを作っているのは同じだからいいのだろうか。
頭に疑問符がいくつか浮かんだが、あまり深くは追及しないことにした。

Sは先日結婚式に出ていたらしい。結婚したのは私とSの共通の友人である。私が今こうしてブログに文章を書いているのも、以前私の誕生日プレゼントとして彼から一捻り効いたトリッキーな文章10編をもらったことに多大な影響を受けている。その意味では私にとって師の一人だ。
私は結婚式があったのを知らなかった。教えてくれないとは水くさいやつだ。水を通り越してもはやお湯である。本当に湯くさい。温泉だ。温泉のようだ。温水洋一ではなく温泉である。あいつは温泉のように温かい心を持ったやつだ。だからきっと温かい家庭を築けるだろう。本当におめでとう。
それにしても、招待してくれたら電報の一つや二つ送ったのに(出席はしない)。そういえば高校の卒業式で名前も知らない市議会議員などが祝電を送りつけてきていたが、あれは一体何の儀式だったのだろう。本当に祝意を持っていたのだろうか。全く時間の無駄だった。まあどうでもいいか。過ぎたことだ。過ぎたるは猶及ばざるが如しだ。そもそも結婚式と関係ない。

コストパフォーマンスを考えると、コオロギラーメンは足繁く通って食べたいほどではない。とはいえ十分美味しかったし、話の種にもなるので行って良かったと思っている。総合的な体験としては大満足だ。一人ではきっと行くことがなかっただろう。今回誘ってくれたSには感謝している。 

(*1)現在、長野県へのビザを取得するにあたっては申請時にイナゴの佃煮をその場で食べてみせることが必須の条件となっている。
(*2)「『お見せするわけにはいかない』ってなんか古文を直訳したみたいな言い方やな」とはSの談である。

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