2016年3月27日日曜日

卒業式

卒業式と聞いてふと村井秀夫を思い出した。 

高校の卒業式は2月末、東大二次試験を受けた翌日だった。式の前は各大学の試験について語り合うなどして浮ついた気持ちでいたため、卒業という感じがしていなかった。それでも式が進んでいくにつれ次第に卒業を実感し涙が出たものだった。
式が終わり、最後のHRがあって、クラス全員で「翼をください」を歌った。 先生が前の高校での卒業式の日にかけた言葉は「後ろ向きにドアを閉めると指を詰めるかもしれないので、ドアを閉めるときはちゃんと前を向いて閉めるように」というものだったらしい。我々には最後に何を言ってくれるのだろうか。先生は言った。
「昔オウムの村井秀夫ておったやろ。あの…途中で殺された人な。わし、あの人と同じ研究室でした。」
 そのとき生徒の一部に衝撃が走り、教室にいた保護者がどよめいた。 

そういえば先生は窓の外に見える工場を指して「サティアンみたいやなあ」と言ったこともあった。落とし主の現れない忘れ物をもって「これポアするからなー」と言ったこともあった。普通なら今の世代には通じないはずだが、なぜか一部それらの用語を知っている生徒が教室にいたのだった。 

とにかくそんなわけで、僕の中では卒業式と殺人事件が結びついている。

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