2017年4月26日水曜日

3行レビュー: 前期教養の授業(1)

教養学部前期課程を修了した際、自分は前期教養で何を学んだのか、ALESS以外の授業についても振り返っておこうと思った。この一連の記事では、前期教養で受けた各授業について、3行でその概略と感想を述べていくこととする。
特記がないものは必修または事実上の必修である。必修以外は<総合E>などで科目区分を表した。それらは、いわゆる一般教養科目だと認識していただければ構わない。

【1Sセメスター】
・月2: 英語二列W(ALESS)
科学論文を分析しつつ、自分でも実験を行いその結果をオリジナルの論文にまとめる授業。
教員は優しく説明もわかりやすかったのだが、とにかく課題が多く学生を老化させる。
この授業で形成された夜型生活は今も尾を引いており、健康問題となっている。

・月3,水2: イタリア語一列・二列
イタリア語の文法を地道に学んでいく授業。教員の雰囲気が柔らかく親しみが持てた。
イタリア語の豊かな活用を問う毎週の小テストはやや大変だった。
"Siamo senza speranza.(私たちには希望がありません)" という教科書の例文が印象的だった。

・月4: 初年時ゼミナール理科(大陸を知る)
アメリカの地質に関する英文テキストをゼミ形式で読んでいく授業。
学生がまとめた発表に教員がたくさんツッコミを入れるという方法で進められた。
先生のツッコミは聞いてもよくわからず、ツッコミの数も多すぎてテンポが悪く大変眠かった。

・火3(S1): 英語一列
共通テキスト「教養英語読本I」の読解を行う授業。
テキストの英文は京大の入試問題のように硬く、読み応えがあって個人的には好きだった。
ただし、英文読解の授業は予習で読んで理解してしまえばおしまいなので、特に講義に用はない。

・火3(S2): 英語中級
予習では"TED talks"から一つ講演を選んで聴解し、授業ではその内容を英語で紹介する発表を行う。
発表後は討論を行うのだが、英語の得意な人が多く圧倒されがちだった。
みんな社会問題に関心があるようだったので、私は敢えてフィボナッチ数列の性質などを紹介した。

・火4(S1/S2):  数理科学基礎/微分積分学
ε-δ論法を使って1変数の微分積分をスタンダードに学んだ。
当時はよくわからなかったが、講義ノートは今見返すとすっきりとまとまっていてわかりやすい。
この先生は東大で授業を受けた数学者の中で一番変人でない、普通に近い方で、安心感があった。

・火5(S1/S2): 数理科学基礎演習/数学基礎理論演習
演習問題を解いて提出すれば単位が得られる授業。プリント資料の丁寧な解説が評判だった。
教員は単位認定の甘さで有名で、授業を聞いていた人は少なかったが、説明は相当わかりやすい。
瞑想が好きな先生で、授業の最初の5分くらいは毎回瞑想の時間とされた。

・水3: 身体運動・健康科学実習
バドミントンをした。
私のような運動音痴でもスポーツで勝負になるというのは、東京大学の利点の一つである。
「全力のx割出したつもりの握力」が実際にx割になっているかを調べるレポートが面白かった。

・木2: 熱力学
偏微分を駆使した熱力学の体系は、高校を出たばかりの私にとって数学を建材とした迷宮であった。
全微分等が数学の授業で解説され、ようやく数学に慣れてくる頃には授業が進みすぎて手遅れになっていた。全くわけがわからず不可だと思っていたが、成績はなぜか良だった。

・木3: 情報
論理回路、通信方式、情報量と圧縮方式、情報と社会など多岐にわたる内容を学んだ。
まさに教養のための科目といった内容の幅広さで、そして教養のための科目らしく授業はあまり面白くない。しかし先達のシケプリは偉大で、面白く、かつ簡潔で、かつ有用と素晴らしいものだった。

・金1: イタリア語初級(演習) <総合L>
イタリア人の先生から、イタリア語の運用について会話や作文を通じて学ぶ授業。
少人数でアットホームな雰囲気であるが、全てイタリア語で進み己の無能さを痛感する。
一方成績評価は甘く、必修イタリア語との相乗効果もあり履修してよかった授業の一つである。

・金2: 有機反応化学 <総合E>
取ったは良いが、教科書は高い上に先生はぼそぼそと話すという典型的なハズレ授業だった。
必修以外で自由に授業を選択できる貴重な枠の1つをこれで費やしてしまったことを後悔した。
一応シケタイを務め一応勉強したが結果は可。私は東大生でなく一応東大生なので仕方ない。

・金3(S1/S2): 数理科学基礎/線型代数学
駒場で最も有名な大鬼教員の一人、「陸の王者」「富山の汚点」ことT先生のワンマンライブ。
説明の理解が難しいため自習で学んでいくことになるのだが、教科書を無視しており教える順番もおかしいためいつまでたっても授業で習った内容にたどり着けない。一体どうしろというのか。

・金4: 力学A
高校では微積を使わなかったが、今度は微積を使ってニュートン力学を体系化する。
教員が初々しく、黒板への板書と口での説明が完全に分離していて大変退屈な授業だった。
教員は後に卓越研究員に指定された。教えるのは苦手でも研究は得意、ということか。

・金5: 自然現象とモデル <総合E>
演示実験とその解説を通し物性理論の考え方を学ぶ授業。
不思議な現象を間近に見ることができて面白かった一方、解説はよくわからなかった。「自然現象を一つ取り上げ、それをモデルによって説明せよ」という難しい最終レポートはトラウマである。

(続く)

0 件のコメント: