2022年9月5日月曜日

脱衣所の謎

今日は銭湯に行ってきた。番台で回数券を出し、ロッカーの鍵を受け取って、脱衣所へ入った。私は尿意を催していた。脱衣所には一つの大便器から成るトイレがあった。私はそそくさとトイレに入り、鍵を閉め、放尿を開始した。そのとき私の脳裏に一つの疑問が浮かんだ。

私は今何のため・・・・にトイレの鍵を閉めたのか?

今ここでトイレの鍵をピッキングか何かで開けられて、私の放尿シーンが脱衣所にいる人みなの前で晒されたとしたら、私はきっと恥ずかしい気持ちになるだろう。しかし一体何が恥ずかしいというのだろうか。ここは銭湯の更衣室なのだから、周りの人に性器を見られたとしても何も問題はない。普段小便器を平気で使っているのだから、放尿の様子を見られるのが恥ずかしいという理屈も成り立たない。
今の私は服を着ていて、トイレの外の人は裸なのだ。鍵によって守られた内部にいる私の方が露出度が低く、鍵の外側の人の方が露出度が高い。なぜ私が恥ずかしがらねばならないのか?恥ずかしがるべきは外側の彼らの方ではないか?これはパラドックスではないか?どうしてこのような現象が起きるのか?
浴槽に浸かりながら、そんなことを30分ずっと考えていた。湯温は42度だった。

私はすっかりのぼせてしまった。番台で冷たい牛乳を買って、銭湯の外でぐびぐびと飲んだ。夕方の空気が涼しかった。秋はすぐそこまで近づいていた。

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